2024年5月10日(金)~12日(日)の3日間に、渋谷・原宿エリアにショップを構えるブランドや企業が合同で開催するリペアイベント第3回「DO REPAIRS(ドゥ・リペアーズ)」が開催されました。今回は過去最多となる12のブランドや企業が参画し、当社からは「ゴールドウイン(Goldwin)」「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」の3ブランドが参加しました。
「DO REPAIRS」は、渋谷・原宿エリアにショップを構える多様なブランドや企業が垣根を越えて、「すでにあるものを長く使い続けることの価値を社会に伝えていきたい」と願い、若者とファッションの街である渋谷・原宿からリペアを文化として根付かせたいという想いをもとに開催するリペアイベントです。地域の活性化、環境への意識向上、サーキュラーエコノミーの形成に貢献し、企業やブランドの垣根を超えた共催により、新たな社会的インパクトを創出することも目的となっています。
今回の「DO REPAIRS」では、当社が2023年度に行った高校生向け教材『服の一生を考えよう』を学校の授業で受講したことをきっかけに、衣類と環境問題について興味を持った高校生がボランティアスタッフとしてイベント運営に参加しました。
当日の様子とともに、ボランティアとして参加した中高生や企画担当の思いにスポットを当てて、第3回「DO REPAIRS」をリポートします。
■「DO REPAIRS」とは?
ステートメント
私たちが身に着ける服や靴、ギアをメンテナンス・修理して、愛着を持って大切に使い続けることは、私たち自身の心に豊かさを与えてくれると同時に、地球環境への思いやりと直結します。
「DO REPAIRS」で、私たちはブランドや企業の垣根を越えて、ともに力を合わせ、すでにあるものを長く使い続けることの価値を社会に伝えていきたいと願っています。
「DO REPAIRS」は、多様な楽しみと喜びに満ちたリペアイベントです。
「DO REPAIRS」のこれまで
2022年10月に「DO REPAIRS」の前身となるリペアイベントを「ザ・ノース・フェイス」「パタゴニア」「フライターグ」が開催しました。その際、多くのお客さまやブランドから反響があり、2023年5月にイベント名を「DO REPAIRS」とし、第1回目の共同リペアイベントとして開催されることとなりました。第2回からボランティアスタッフの募集も開始し、現在は、高校生や大学生などの学生や社会人まで幅広い世代のボランティアスタッフとともにイベントの運営を行っています。
■第3回「DO REPAIRS」イベントリポート
第2回に続き、「専門スタッフによる修理サービス」「プロによるメンテナンスサービス・アドバイス」「自身で修理やアップサイクルが体験できるワークショップ」の3つをテーマに、ひとつの製品を長く大切に使い続けることを楽しむためのコンテンツが用意され、会場では参加ブランドのスタッフがブランドの垣根を越えて協力し、運営されました。
3日間でのリペア・メンテナンス件数は合計639件となりました。これまでの縫製やパッチ修理に加え、ニット製品やシューズの修理やクリーニングも可能となり、前回よりも幅広い修理に対応しました。
今回は、修理やメンテナンスの価値を改めて考えるきっかけをつくるために、修理費を有料とし、修理後に、その対価を参加者に決めていただく形を試験的に取り入れました。
参加ブランド・企業(順不同)
参加ブランドは回を追うごとに増え、第3回の今回は、12のブランドと企業が参加しました。
「ザ・ノース・フェイス」「パタゴニア」「フライターグ」「ヘリーハンセン」
「アークテリクス」「ミステリーランチ」「キーン」「ゴールドウイン」
「ニューメイク」「フェールラーベン」「ジェイソンマーク」「リッシュ」
第3回「DO REPAIRS」当日の様子
「DO REPAIRS」の詳細やイベント当日の様子は、公式インスタグラムをご覧ください。
https://www.instagram.com/do_repairs
■当社の高校生向け教材を受講した生徒が、ボランティアスタッフとして参加
「DO REPAIRS」では、第2回からボランティアスタッフを募集しています。学生ボランティアスタッフの参加によって、若者たちの参加拡大につながり、世代を超えてモノを大切に使い続けることの価値が育まれ、渋谷・原宿エリアを「ファッション×サステナブルカルチャーの聖地」としていくことも狙いです。
今回は、当社が2023年度に行った高校生向け教材『服の一生を考えよう』を、2月に学校の授業で受講したドルトン東京学園の現高校3年生の生徒の一人が、授業をきっかけにファッションブランドのサステナブルな取り組みに興味を持ち、学校のボランティアサークルの仲間とともに、ボランティアスタッフとして参加しました。
ボランティアスタッフとして参加したドルトン東京学園生徒の感想
T・Vさん(高校3年生)
「2月に公民の授業で『服の一生を考えよう』を受けて、まず『ザ・ノース・フェイス』の製品やさまざまな取り組みに興味を持ちました。ザ・ノース・フェイスやほかのファッションブランドの取り組みをさらに調べるなかで、ブランドの環境問題へのアクションに興味が沸き、『DO REPAIRS』でボランティアの募集があることを知り、参加することにしました。あの授業がなかったら今回のボランティア活動には参加しなかったので、授業を受けたことが一つのきっかけになったと思います。『服の一生を考えよう』の授業を受ける前までは、ファッションブランドにとってはファッション性が一番大切だと思っていましたが、授業で学んだことやザ・ノース・フェイスの取り組みを知るなかで、“服を売る責任”を知り、また“ブランドの情熱”を感じ、環境への配慮が必要だと思うようになりました。
今日一緒に参加したメンバーはボランティアサークルの仲間です。僕が、高校2年生の11月ごろに、アメリカに留学に行った際の現地の学生たちの活動を参考に、帰国後に立ち上げ、輪が広がりました。
今回、靴磨きを担当して、どうしたら靴を長く履き続けられるかを学びました。リペアについては、もっと僕たちの同世代に伝えていけたらと思います。イベント当日にボランティアスタッフとして参加するだけでなく、事前にブランドと若者が一緒に考える機会があったり、未来を担う僕たち若者側のアイディアを取り入れていったりするなどの取り組みもできたらもっといいなと感じました。そうなったら、ぜひ僕も参加してみたいと思いますし、もっと、若者に広がっていくと思います。」
H・Tさん(高校3年生)
「僕は、ボランティアサークルを部活動にしたいと考えているなかで、普段の活動以外にどのような社会貢献活動があるかを模索していました。新しくメンバーになってくれる人たちに対して、新しいボランティア活動を提案できるように、まずは自分が体験してみたいと思い、今日は参加しました。
実際に参加してみると、運営の人たちのブランドの垣根を越えたチームとしてのまとまりを感じました。
リペアの現場を見学していたときに、あるブランドの方から『利益を求めるイベントではないんだよ』という説明を受けて、僕も共感した思いをもって、このイベントにボランティアスタッフとして参加できてよかったです。」
R・Cさん(高校2年生)
「私たちのボランティアサークルの今までの活動は、ゴミ拾いや保育園との交流などを学校の周辺地域で行っていたので、今回は学校を離れて、企業の人たちと一緒に行うということがとても新鮮でした。
私は小学生の頃から、世界の貧困問題に課題意識を持っていましたが、最近は、地球温暖化など環境方面にも課題意識を持つようになったので、今回のイベントに参加して、衣服と環境問題についても知ることができたのがよかったです。リペアのイベントにはこれまで参加したことはなかったのですが、今回、ボランティアスタッフとして参加してみて、もっとこういうイベントが増えたらいいなと感じました。」
O・Yさん(中学3年生)
「ふだん、私自身は、周囲と比べると、ファッションや着飾ることに興味がある方ではないかなと思っていたのですが、環境問題に配慮している素材があることや、今日行った靴磨きなどを通じて、新しい視点からファッションを見ることで、ファッションに興味を持つことができました。
今までのボランティア活動では、貧困問題などへの関心が強く、人と人とのつながりのなかで役に立てることを考えて行っていました。でも、今日は、直接、目の前の誰かのためというだけでなく、自分たちの取り組みが遠くの誰かや世界の環境問題の役に立てるということがある、というのを知ることができました。」
■担当者の思い
リペア担当:ゴールドウイン リペアセンター リーダー 磯部弥生
「『DO REPAIRS』は、お客さまとの対話だけでなく、一緒に参加しているブランドのスタッフ同士の交流の機会にもなっています。お互いの修理方法から学び合ったり、気づきを得ることがたくさんあります。また、リペアの技術は、日頃はなかなか表に出てくることはありませんが、こういったイベントの場でのリペアを通じて、お客さまにもその技術力を知っていただける貴重な機会にもなっていると感じます。
『DO REPAIRS』への参加回数を重ねていくなかで、改めて、日頃のリペアの取り組みをもっと伝えていきたい、という思いを強くしています。リペアについて、イベントの場だけなく日頃の店舗運営からお客さまにお伝えしていけるように、社内のさまざまな部門とも連携しながら、コミュニケーションや情報発信を検討していきたいと思います。」
リペア担当:ゴールドウイン リペアセンター 澤田昂一
「3回目の今回も、お客さまとの対話のなかで、私たち自身も修理を楽しみながら行うことができました。修理による機能性の回復はもちろん、お客さまとの対話によって、ご希望のカラーリングを反映したあて布や遊び心を取り入れた縫製など、イベントならではのリペアも実施しました。過去2回の『DO REPAIRS』参加経験を、今回3回目では、より生かすことができたように思います。
『DO REPAIRS』では、リペアセンターでの専門的な修理では使用しない家庭用ミシンでのリペアも行います。当社では、昨年から販売スタッフによる店頭でのリペアをスタートしましたので、そういった部分にも生かせることがありそうです。
『DO REPAIRS』に限らず、イベント型で行うリペアの機会が増えています。お客さまと一緒に環境への配慮やリペアの考えを共有できる機会として、今後も取り組んでいきたいと思います。」
企画担当:ザ・ノース・フェイス マーケティング部長 山下浩平
「『DO REPAIRS』の開催も3回目を迎え、回を追うごとにイベントの規模も大きくなっていますが、参加ブランドや企業が増えてきたなかでも、運営体制を強化し、組織的に行えるようになってきていると思います。また、アウトドアやファッションブランドのみならず、他業種からの問い合わせもいただき、リペアの取り組みへの関心だけではなく、ブランドや企業の垣根を越えた『DO REPAIRS』のスキームにも注目いただいていると感じています。
ボランティアスタッフについては、前回までは参加ブランドそれぞれからの呼びかけでしたが、今回からは包括的に募集を呼びかけることができ、参加の皆さんと意見交換ができるような懇親会なども企画しました。さまざまな意見や感想を聞くことができ、企画運営側にとっても有意義な時間となりました。
渋谷・原宿エリアでリペアを文化として根付かせたいという思いでスタートした『DO REPAIRS』ですが、各地から要望の声もいただくようになりました。今後は、地域を変えたりスピンオフイベントを行ってみたりなど、新しいことにもチャレンジしていくかもしれません。引き続き、各社協力して、輪を広げていけたらいいなと思います。」
■参考:ゴールドウインのオリジナル教材「服の一生を考えよう」
衣服の大量生産と大量消費による影響や衣服の一生(生産から破棄)を知るなかで、ファッション業界がもたらす環境汚染の重大さへの気づきを促し、環境に配慮した衣服の選び方や付き合い方ができるようになることを目指し、衣生活と環境全体を広く学ぶことのできる教材として開発。2024年度も、教材使用の申し込みを受け付けています。
2024年3月19日既報: https://about.goldwin.co.jp/news/page-31849
2023年9月26日既報: https://about.goldwin.co.jp/news/page-31439
当社は、今後もリペアのさまざまな取り組みを通じて、環境配慮を意識し、製品のロングライフを実現する取り組みを行っていきます。