脱炭素社会の実現 Sustainability
基本的な考え方
アパレル産業はCO2排出量が非常に多い産業といわれています。地球温暖化は喫緊の課題であり、パリ協定で約束された1.5℃目標の達成にむけ積極的な対応が必要です。当社グループは、可能な限り少ない資源とエネルギーを利用した環境負荷を抑えた事業活動を通じて、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。今後は直営店での排出削減やサプライヤーとの連携強化による化石燃料に頼らない原材料の調達や製造工程の見直しなどとともに、カーボンニュートラル達成を目指していきます。
環境重要課題
当社グループではかねてより、主要事業所におけるエネルギー消費量の削減とCO2の排出量削減に取り組んできました。これらの取り組みを一層進め、サプライチェーン全体でのCO2削減に取り組むために、中期経営計画のなかで、重要課題の一つとして「脱炭素社会の実現」を設定しています。サプライヤーとの連携を強化し、化石燃料に頼らない原材料の調達とともに、カーボンニュートラル達成を目指しています。
また、代表取締役社長が委員長を務める「EMS推進委員会」を中心に脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めています。EMS推進委員会事務局では事業所ごとの温室効果ガス排出量の実績を毎月管理し、排出量の削減に努めています。また、年2回開催される環境管理会議でも進捗が報告されます。
温室効果ガス排出量削減
当社グループは、継続して温室効果ガス排出量の削減を実施しています。2023年度の国内事業所からの排出量は128 t-CO2であり、直営店からの排出は2,158 t-CO2でした。
また、2023年度は、初めてGHGプロトコルに基づき、Scope1・2・3の算定をしました。今後は算定結果に基づいた排出量削減に向けて、取り組みを強化していきます。具体的には、当社が直接排出するScope1に加えて、直営店の再生可能エネルギーへの転換などによりScope2の削減を進めるとともに、温室効果ガス排出量の多くを占めるScope3のカテゴリ1の削減に向けて、CO2排出量の少ない製品の開発やサプライヤーとの連携を強化していきます。
Scope 1・2・3 | 262,864 |
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Scope1 | 312 |
Scope2 | 1,974 |
Scope3 | 260,578 |
カテゴリ1 ※1 | 245,008 |
カテゴリ3 | 633 |
カテゴリ4 | 3,491 |
カテゴリ5 ※2 | 41 |
カテゴリ6 | 850 |
カテゴリ7 | 941 |
カテゴリ12 | 9,614 |
※2 調達した製品を算定対象としました。
温室効果ガス(GHG)排出量の第三者検証の受審
当社は、算定した温室効果ガス(GHG)排出量の信頼性向上のため、SGSジャパン株式会社による第三者検証を受審し、その検証結果を公表しました。
今後も脱炭素社会の実現に向けてCO2削減の取り組みを推進し、事業活動に伴う環境への影響を適切に把握・管理していきます。また、ステークホルダーの皆さまへ正しく分かりやすくお伝えするとともに、環境負荷低減に向けた取り組みを加速させていきます。
調達物流から排出された温室効果ガス
ゴールドウイングループでは物流に関する温室効果ガスの排出量の把握に取り組んでおり、2023年度は調達時の輸送で2,029tのCO₂の排出がありました。翌2024年度に同量の排出枠クレジットを購入しカーボンオフセットを完了していますが、今後は排出削減に向けた施策の検討とその実施を進めていきます。
エネルギー使用量の削減
当社グループは、継続してエネルギー使用量の削減に取り組んでいます。
2023年度の国内主要事業所の総エネルギー使用量は34,547GJであり、2022年度から削減されましたが、2023年度から算定の対象に直営店を加えたことにより、主に電力およびショッピングモール内のテナント店の空調の動力として使用される都市ガスの使用量が増加し、結果として総エネルギー使用量が82,310GJに増加しました。その他内訳における変化については、ゴールドウインロジテムにおいて空調の動力として使用していたA重油を電力へ切り替えたことによりA重油の使用量が0tとなり、また、軽油については、揮発油との区別をより明確化したことにより算出量が2022年度と比較し増加しています。算定の対象を拡大し精緻化することでエネルギー使用状況の可視化が進みました。2024年度も引き続き省エネルギーに努め、さらなる削減に取り組みます。
単位 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||
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電力 | 千kWh | 3,711 | 3,501 | 3,502 | 3,473 | 8,548 | |
都市ガス | 構内設備使用分 | 千㎥ | 5.527 | 3.192 | 2.197 | 3.759 | 118.803 |
LPG | 構内設備使用分 | t | 187.0 | 6.9 | 6.7 | 5.8 | 4.7 |
A重油 | ㎘ | 50.4 | 50.8 | 52.0 | 18.4 | 0 | |
揮発油 | 自動車使用分 | ㎘ | 16.0 | 11.0 | 18.9 | 20.3 | 18.6 |
軽油 | 自動車使用分 | ㎘ | 0.980 | 0.862 | 4.492 | ||
総エネルギー 合計 | GJ | 48,898.9 | 37,765.5 | 37,979.9 | 36,372.2 | 82,310 |
※2023年度より直営店実績を含む
再生可能エネルギーへの転換
当社グループは、温室効果ガス排出量の削減のために、使用する電力を再生可能エネルギーに転換しています。この取り組みの一環として、富山地区の事業所においては太陽光パネルによる自家発電システムを導入しています。
2023年度は、これまでの算定範囲である国内主要事業所に加え直営店を含めたことから、電力使用量は増加しました。また、同様に算定範囲に直営店を含むことにより算定範囲全体の再生可能エネルギー使用比率は低下することとなりましたが、2023年度の国内主要事業所における再生可能エネルギー使用比率は97.6%となり、前年度からの再生可能エネルギーへの転換が進んでいます。算定範囲を直営店も含めることにより、更なる現状の可視化、算定の精緻化を進め、引き続き事業所、直営店で使用する電力を再生可能エネルギーへ転換することを推進します。
オゾン層破壊物質の適正管理
当社グループでは、空調機器に充填されているフロン類を、フロン排出抑制法に定められた基準に従い管理しています。2023年度はフロン類の漏洩は確認されませんでした。今後も法を順守し、フロン類の排出抑制に努めていきます。
今後の課題
2023年度は国内事業所での温室効果ガス排出量を計画値以上に削減できました。また、直営店の温室効果ガス排出量およびGHGプロトコルに基づくScope3の算定をしたことにより、当社グループの温室効果ガス排出量の把握も進展しました。今後もより正確な排出量の実態把握に努めるとともに、中長期計画に基づき事業所・直営店に加えサプライチェーンでの温室効果ガス排出量についても実態把握を進め、その削減を推進します。