脱炭素社会の実現 Sustainability

基本的な考え方

アパレル産業は、原材料の調達から製造、輸送、販売、使用、廃棄に至るまで、サプライチェーン全体を通じて環境負荷が大きい産業とされています。地球温暖化は喫緊の課題であり、パリ協定で約束された1.5℃目標の達成にむけ、企業には積極的な対応が求められています。当社グループは、可能な限り少ない資源とエネルギーを利用した環境負荷を抑えた事業活動を通じて、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。

また、ファッション産業が環境負荷低減に取り組む国際的な枠組みである「ファッション協定(THE FASHION PACT)」に加盟しています。当社が掲げる地球環境の改善に向けた環境重要課題への取り組みと同時に、国際的な共有目標達成に向けた活動を積極的に行っています。

さらに、当社は、自社のサステナビリティ方針と整合する範囲で、経済産業省等に対し、アパレル業界の立場から不定期に政策提言や意見交換を行っています。主なテーマは、環境負荷低減素材への移行、脱炭素社会の実現、循環型社会の実現などです。

今後は直営店での排出削減やサプライヤーとの連携強化による化石燃料に頼らない原材料の調達や製造工程の見直しなどとともに、2030年の短期削減目標の達成および2050年のサプライチェーン全体でのネットゼロの実現を目指します。


環境重要課題

当社グループではかねてより、主要事業所におけるエネルギー消費量の削減とCO₂の排出量削減に取り組んできました。これらの取り組みを一層進め、サプライチェーン全体でのCO₂削減に取り組むために、中期経営計画のなかで、重要課題の一つとして「脱炭素社会の実現」を設定しています。この実現に向けて、再生可能エネルギーへの転換、省エネルギーの推進、サプライヤーとの連携強化、低炭素・環境負荷低減素材の調達拡大などに取り組み、事業活動およびサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減を進めています。さらにパリ協定が目指す「産業革命前の水準から地球の気温上昇を1.5℃に抑える」という目標の実現のため、SBTi(Science Based Targets initiative)による目標の認定を取得し、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。2030年までにScope1+2排出量を基準年比42%削減、Scope3排出量を基準年比25%削減し、2050年までにサプライチェーン全体でネットゼロを達成することを目指します。これらの目標は、パリ協定の1.5℃目標と整合する科学的根拠に基づく目標であり、当社グループは、CDP等が重視する1.5℃目標と整合した移行計画の考え方を踏まえ、脱炭素化に向けた取り組みを推進しています。

環境改善活動における戦略と具体策

環境改善活動における戦略と具体策の説明図

また、代表取締役社長が委員長を務める「ゴールドウィン環境マネジメント委員会」を中心に脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めています。当委員会事務局では、環境改善活動に関する進捗状況の確認やそれに伴う戦略と具体策の見直し、さらには事業所ごとの温室効果ガス排出量の実績を毎月管理し、排出量の削減に努めています。また、年2回開催される環境マネジメント委員会でも進捗が報告されます。


温室効果ガス排出量削減

当社グループは、継続的に温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。2025年度における国内事業所からの温室効果ガス排出量は、前年度比9t-CO₂減の80.4t-CO₂、直営店からの排出量は前年度比735t-CO₂減の2,075t-CO₂となりました。
また、Scope1・2・3を含む総排出量は237,740t-CO₂となり、前年度比で24,905t-CO₂増加しました。この増加は、前年度に未算定であったScope3カテゴリー2・9・11・15の排出量25,351t-CO₂を新たに算定したことによるものであり、比較可能ベースでは446t-CO₂の減少となりました。
国内事業所では、省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用など、排出量そのものの削減を進めてきました。その上で、こうした取り組みを進めてもなお削減しきれなかった残余排出について、富山県内の水田由来J-クレジットを活用して全量をオフセットし、2025年度の目標として掲げた国内事業所のネットゼロを達成しました。

今後は、これらの算定結果を踏まえ、排出量削減に向けた取り組みを一層強化していきます。具体的には、当社が直接排出するScope1の削減に加え、直営店における再生可能エネルギーへの切り替えや非化石証書の活用などを通じて、Scope2の削減を進めていきます。また、製品のカーボンフットプリント算定結果も活用しながら、削減のポイントを明確化していくと共に、温室効果ガス排出量の多くを占めるScope3のカテゴリ1の削減に向けて、CO₂排出量の少ない製品や素材の開発やサプライヤーとの連携強化を推進していきます。

CO₂排出量推移(国内事業所および直営店)(t-CO₂)
2025年度温室効果ガス排出量(t-CO₂)
Scope 1・2・3 237,740
Scope1 295
Scope2 1,860
Scope3 235,585
 カテゴリ1 200,403
 カテゴリ2 7,249
 カテゴリ3 1,025
 カテゴリ4 4,789
 カテゴリ5 28
 カテゴリ6 305
 カテゴリ7 695
 カテゴリ9 205
 カテゴリ11 795
 カテゴリ12 2,989
 カテゴリ15 17,102
※ 算定対象は連結対象のうち、日本国内の親会社および子会社とし、海外子会社を除きました。

温室効果ガス(GHG)排出量の第三者検証の受審

当社ではScope1・2・3を含む総排出量について第三者検証を継続的に受審、計画実施による削減効果を外部機関が検証しています。算定した温室効果ガス(GHG)排出量の信頼性向上のため、一般社団法人日本能率協会による第三者検証を受審し、その検証結果を公表しました。

今後も脱炭素社会の実現に向けてCO₂削減の取り組みを推進し、事業活動に伴う環境への影響を適切に把握・管理していきます。また、ステークホルダーの皆さまへ正しく分かりやすく説明するとともに、環境負荷低減に向けた取り組みを加速させていきます。


調達物流から排出された温室効果ガス

ゴールドウイングループでは、Scope3カテゴリー4に該当する輸送・配送に伴う温室効果ガス排出量の把握に取り組んでいます。
2025年度の調達活動で排出された3,268t-CO₂については、翌2026年度に排出枠クレジットを購入し、カーボンオフセットを実施しました。
また、省パッケージ化や物流梱包資材の削減、およびプラスチック使用量の削減を積極的に推進しており、輸送時の梱包材の再利用やモーダルシフトの推進など、脱炭素に繋がる施策にも積極的に取り組んでいます。今後も、物流の最適化に向けた具体的な施策の検討・実行を継続します。


製品におけるカーボンフットプリントの算定

当社グループでは、温室効果ガス排出量の大部分を占めるScope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)における削減を目的に、製品単位でのカーボンフットプリント算定に取り組んでいます。
2024年度は、環境省による「令和6年度 製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参画し、当社のアウトドアウエアブランド「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」を代表する製品である「バルトロライトジャケット(2024年秋冬モデル)」のカーボンフットプリントを算定しました。
その結果、当製品では原材料調達段階の排出量が全体の約8割を占めることが明らかになり、特に生地をはじめとする素材段階での排出削減が重要な課題であると特定されました。
この知見を踏まえ、温室効果ガスの削減に向けた取り組みの一環として、2025年秋冬モデルの「バルトロライトジャケット」では表生地に再生ナイロンを採用。化石由来素材を使用した場合と比較し、素材から製造までの工程において約1.8kgのCO₂排出削減を実現しました。
今後も、サプライヤーとの連携をさらに強化し、原材料段階からの排出削減につながる施策を推進していきます。
また、カーボンフットプリントの算定対象を当社グループの幅広い製品へ拡大し、現状把握と削減対策の高度化を進めていきます。


エネルギー使用量の削減

当社グループは、継続してエネルギー使用量の削減に取り組んでいます。

2025年度の国内主要事業所の総エネルギー使用量は29,538GJとなり、2024年度比で243GJ削減しました。一方、国内主要事業所および直営店舗を合わせた総エネルギー使用量は105,331GJとなり、2024年度比で20,736GJ増加しました。これは、海外直営店舗の新規算定開始および国内直営店舗数の増加に伴い、直営店舗における電力使用量が増加したことが主な要因です。また、公共交通機関の利用促進により、揮発油・軽油とも使用量が減少しました。今後も省エネルギーの推進に努め、エネルギー使用量の削減に取り組んでいきます。

エネルギー使用量
単位 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
電力 千kWh 3,501 3,502 3,473 8,548 8,773 10,476
都市ガス 構内設備使用分 千㎥ 3.192 2.197 3.759 118.803 185.891 106.723
LPG 構内設備使用分 t 6.9 6.7 5.8 4.7 4.7 4.0
A重油 ㎘ 50.8 52.0 18.4 0 0 0
揮発油 自動車使用分 ㎘ 11.0 18.9 20.3 18.6 16.2 13.7
軽油 自動車使用分 ㎘ 0.980 0.862 4.492 3.571 5.009
総エネルギー 合計 GJ 37,765.5 37,979.9 36,372.2 82,310 84,595 105,331
※軽油の使用量は2021年度から計測しています。
※2023年度より直営店実績を含む
エネルギー使用量推移(GJ)

再生可能エネルギーへの転換

当社グループは、温室効果ガス排出量の削減のために、使用する電力を再生可能エネルギーに転換しています。この取り組みの一環として、富山地区の事業所においては太陽光パネルによる自家発電システムを導入しています。

2025年度は、事業活動の拡大により、電力使用量は増加しました。
それでもなお、再生可能エネルギーの使用比率は前年より5.3ポイント増加し、64.6%に達するなど、転換は着実に進んでいます。
今後も、現状の可視化や算定方法の精緻化を図りつつ、再生可能エネルギーへの転換を継続的に推進していきます。

電力使用量(kWh / %)
※国内主要事業所使用量(一部の事業所と店舗は除く)
※2023年度より直営店実績を含む

フロン類の適正管理

当社グループでは、空調機器に充填されているフロン類を、フロン排出抑制法に定められた基準に従い管理しています。2025年度はフロン類の漏洩は確認されませんでした。今後も法を順守し、フロン類の排出抑制に努めていきます。


今後の課題

2025年度は、国内事業所における温室効果ガス排出量を計画値以上に削減することができました。電力調達を自社で選択できる直営店では、この強みを活かして順次再生可能エネルギーへ切り替えています。一方、テナント入居店舗ではオーナーの方針が大きく影響するため、再エネへの転換に向けてオーナーとの対話を深め、脱炭素化を共に推進していきます。今後も排出量の精緻な把握に努めるとともに、中長期計画に基づき、事業所・直営店に加えサプライチェーン全体の排出量を可視化し、その削減を加速していきます。