グリーンデザインの推進 Sustainability
基本的な考え方
アパレル産業は、温室効果ガスの排出量、水の使用量、製品の大量廃棄など、社会や環境へのマイナスインパクトが非常に大きい産業といわれています。ライフサイクルの短い有害な製品から、環境の持続可能性を高め生活者に安全で長期にわたって役立つ製品の提供が求められています。
ゴールドウイングループでは、出来るだけ長くご使用いただける製品づくりや、サービス提供を前提とするとともに、環境負荷の低い素材の使用比率を高めていきます。
環境重点課題
当社グループでは、環境の持続可能性を高め、生活者に安全で長期にわたって役に立つ製品を提供する事を目指し、環境負荷が低く再生可能な原材料を使用した製品開発を積極的に進めてきました。そして2021年に策定した中期経営計画のなかで、あらためて重要課題の一つとして「グリーンデザインの推進」を設定しました。
環境負荷低減素材を使用した製品の比率は、各事業部門の重点目標項目に組み込まれるとともに、代表取締役社長が委員長を務めるEMS推進委員会で、月ごとの進捗を確認しています。また、四半期に一度開催されるESG経営推進委員会でも進捗が報告されます。
環境負荷低減素材使用製品の拡大
2022年度は、ブランド横断での素材情報の共有を強化したことで、全社的に環境負荷低減素材の使用が進みました。環境負荷低減素材を使用した製品の比率は当初計画の30%を上回り57.9%となりました。構造タンパク質素材「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)」をはじめとした植物由来原料、リサイクルやアップサイクル原料など、環境負荷の低い素材を使用した製品開発を今後も積極的に進めていきます。
GREEN IS GOOD
─ お客さまとのコミュニケーション
持続可能な社会の実現を目的に2008年から行っている環境負荷低減活動です。すべてのスポーツフィールドで「さまざまな環境に配慮する」という考えのもと、環境負荷を減少するためのアイデアを取り入れた製品開発や製造に加え、その製品の使用者であるお客さまと一緒にアクションを起こすことで、循環型社会の実現を目指してきました。「GREENCYCLE/繰り返し使う」「GREEN MATERIAL/選んで使う」「GREENMIND/大切に使う」の3つのキーワードをもとに取り組みを進めています。関連の製品と分かる表示をすることで、お客さまが環境配慮型の製品である旨をご認識できるようにしています。
今後も「グリーンデザインの推進」や「ファッションロス・ゼロ」に直結するGREEN IS GOODの活動を一層強化していきます。
世界では毎年9,200万トン*1、日本でも年間約50万トン*2もの衣類が廃棄されています。日本ではそのうち約95%が焼却・埋め立て処分に。そんな課題を解決するため、ゴールドウインは循環型リサイクルシステム「GREENCYCLE(グリーンサイクル)」を実施しています。
原料から資材、そして製品に至るまで。
ゴールドウインでは製品を製造する各プロセスにおいて自社の認定基準を設けています。ここで紹介する各原料は、「GREEN MATERIAL(グリーンマテリアル)」の根拠となるものです。これらを25%以上使用した資材をGREEN MATERIAL、そこから製造された製品を「GREEN PRODUCT(グリーンプロダクト)」と呼んでいます。
環境に配慮した次世代新素材の共同開発
スポーツアパレルの多くは、石油を原料として製造された合成分子材料(ポリエステルやナイロンなど)を使用しています。これらの素材はその製造過程において膨大なエネルギーを消費するため、温室効果ガスを排出し、その結果大気中の二酸化炭素濃度の急激な上昇による気候変動、また、石油化学由来素材のマイクロプラスチックによる海洋汚染といった環境問題が顕在化しています。石油の枯渇が懸念されている状況において、持続可能な資源へと転換していくことは現代社会に生きる私たちにとっての大きな責任です。
このような地球規模の環境問題に挑むため、当社は2015年よりSpiberと共同で「構造タンパク質素材」の研究を進め、2015年秋には天然のクモ糸を模倣した構造タンパク質素材を用いたアウトドアジャケットのプロトタイプを発表。その後4年間かけて素材の改良を重ね、2019年には構造タンパク質素材「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)」を使用したTシャツならびにアウトドアジャケットを「THE NORTH FACE」から発売。さらに2020年には「Goldwin」から、ウールとBrewed Protein™とを混紡したセーターを発売しました。
2022年度は、「THE NORTH FACE」、「Goldwin」、「nanamica」、「THE NORTH FACE PURPLE LABEL」、「WOOLRICH(ウールリッチ)」の5ブランドから初の量産体制による製品を発表し、2023年秋冬から販売を開始します。
当社はこの共同開発を通して、自然と人間の関係性について改めて見つめなおし、機能と環境性を高度に両立した全く新しい素材のあり方、製品のあり方、経済のあり方を考え続け、自然と美しく調和する未来のライフスタイルに寄り添うスポーツアパレルをデザイン、提案することによって、人類社会の持続可能な発展に大きく貢献できると信じ、研究開発に努めています。
リサイクル素材への転換促進
スポーツアパレルの多くは、石油を原料として製造されたポリエステルやナイロンなどを使用しています。枯渇していく化石燃料に頼らないリサイクル素材の転換を積極的に進めていきます。あわせて店舗では、不要となった衣類の回収を行い、限られた資源の循環利用を促進しています。
環境負荷低減副資材の活用
製品主素材での環境負荷が低い素材使用比率を高めるとともに、製品の付属パーツに関しても、今後は環境への負荷が少ない原料を使用した資材の利用を進めていきます。また、容器・包装や吊札類の削減、循環利用可能な材料の選定など、副資材の利用におけるさまざま環境負荷低減も推進していきます。
今後の課題
今後も既存の環境負荷低減素材の使用した製品の比率を高めるだけでなく、新規の環境負荷低減素材の開発に取り組んでいきます。ステークホルダーの皆さまにも当社グループの環境に対する取組をご理解頂けるように努め、機能、美しさだけでなく環境に配慮した製品として選択して頂けることが課題となります。