グリーンデザインの推進 Sustainability
基本的な考え方
アパレル産業は、温室効果ガスの排出、水の使用、製品の大量廃棄など、社会や環境へのマイナスインパクトが非常に大きい産業といわれています。ライフサイクルが短く環境負荷の高い製品から、長期にわたって安心してお使いいただける製品への転換が必要です。
当社グループでは、環境の持続可能性を高め、生活者にとって安心で、長期に使用していただける製品を提供することを目指し、環境負荷が低く再生可能な原材料を使用した製品開発を積極的に進めています。
環境重要課題
当社グループでは、環境の持続可能性を高め、生活者に安全で長期にわたって役に立つ製品を提供する事を目指し、環境負荷が低く再生可能な原材料を使用した製品開発を積極的に進めてきました。そして2021年に策定した中期経営計画のなかで、あらためて重要課題の一つとして「グリーンデザインの推進」を設定しました。
環境負荷低減素材を使用した製品の比率は、各事業部門の重点目標項目に組み込まれるとともに、代表取締役社長が委員長を務めるEMS推進委員会の事務局が、月ごとの進捗を確認しています。
環境負荷低減素材使用製品の拡大
2021年に策定した中期経営計画のなかで中長期目標を明示したことで、全社的に環境負荷低減素材の使用が進んでいます。2023年度の環境負荷低減素材を使用した製品の比率は65.3%となりました。構造タンパク質素材「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)」をはじめとした植物由来原料、リサイクルやアップサイクル原料など、環境負荷の低い素材を使用した製品開発を今後も積極的に進めていきます。
環境に配慮した次世代新素材の共同開発
当社を含む多くのスポーツアパレルでは、これまで石油を原料としたポリエステルやナイロンといった繊維を多く使用してきましたが、これらの素材は自然環境へのネガティブな影響が懸念されています。環境負荷低減素材への移行を推進している当社は、2015年から山形のバイオベンチャーSpiber株式会社と協働し、より環境負荷が低い素材を開発してきました。「Brewed Protein™ファイバー」は植物由来のバイオマスを原材料に使用し、微生物の発酵プロセスにより生産されるため、従来の素材に比べて環境負荷を大幅に低減させることが可能です。例えば、高級獣毛でありながら、さまざまな環境リスクを指摘されているカシミヤ繊維と比較した場合には、温室効果ガスの排出量の大幅な縮小と土地や水の使用量の削減が期待できます。また、「Brewed Protein™ファイバー」の素材自体は生分解性を有するため、最終製品の設計によっては石油由来製品によるマイクロプラスチック排出の課題解決への貢献が見込めるなど、従来の動物由来、植物由来、合成素材に代わるソリューションを提供することができる次世代の素材として期待が寄せられています。これまでは安定的な供給が難しく、数量限定でTシャツなどを販売してきましたが、量産化体制の構築に伴い、2023年9月には「リジェネラティブ・サークル(REGENERATIVECIRCLE)」をコンセプトに、「Brewed Protein™ファイバー」を使用した製品を各国で同時発売しました。東京とロンドンではポップアップストアをオープンし、大きな反響をいただきました。さらに、全国のバイヤーからもたくさんの反応をいただき、サステナブルなファッションの未来について、関心が高まっていることを再確認しました。同繊維は生産量拡大の途上のため、依然として当社の従来製品よりも価格を高く設定せざるを得ないことが課題です。一人でも多くのお客さまにこの素材を使用した製品を使っていただけることが、環境課題の解決につながると考え、今後もこの取り組みを推進していきます。
リサイクル素材への転換促進
スポーツアパレルの多くは、石油を原料として製造されたポリエステルやナイロンなどを使用しています。当社では、使用済みの衣料や繊維製品およびペットボトルなどを再生したリサイクルポリエステルやナイロンの利用、また、ダウンジャケットの羽毛を再洗浄したリサイクルダウンなどを新たな製品に再利用するなどの取り組みにより、枯渇していく化石燃料に頼らないリサイクル素材の転換を積極的に進めていきます。あわせて店舗では、不要となった衣類の回収を行い、限られた資源の循環利用を促進しています。
環境負荷低減副資材の活用
製品主素材での環境負荷が低い素材の使用比率を高めるとともに、製品のファスナーなどの付属パーツに関しても、リサイクル原料や環境への負荷が低い植物由来の原料などを使用した資材の利用を進めています。また、容器・包装や吊札類の削減、循環利用可能な材料の選定など、副資材の利用におけるさまざまな環境負荷低減も推進していきます。
今後の課題
今後も環境負荷の低い素材や製品の開発とともに、製造工程も含めた環境負荷の低減を進めます。ステークホルダーのみなさまにも当社グループの環境に対する取り組みをご理解いただけるように努め、機能、美しさだけでなく環境に配慮した製品として選択していただくことが課題となります。