人材育成 Sustainability
基本的な考え方
「人」はゴールドウインの最大の資産であり、人材の成長こそが当社の成長の源泉となります。高い視座と革新性・創造性を持った従業員を育て、多様なナレッジを共有していくことが組織を強くするという考えのもと、当社ではさまざまな人材育成施策を実施しています。
70年以上に亘り受け継いできたゴールドウインのDNAを伝承し、事業成長を推進していく人材輩出に向けて、2022年度には新人事制度をスタートしました。新たに策定した人材マネジメント方針では「不透明な環境下においても、会社を持続的に成長させることができるプロフェッショナル人材の育成と確保を推進する」ことを人事基本方針とし、それに基づく5つのVALUEを軸に適性・能力・意欲を見極めることで、「求める人物像」を明確にして人材育成の拠り所としています。
5つのVALUE
- Play 遊ぶ
- Imagine 想像する
- Engage 挑戦する
- Create 生み出す
- Respect 敬意を示す
人材育成
ゴールドウインでは従業員一人ひとりの成長をサポートするため、長期的視点から研修制度を整備しています。階層別研修、管理職研修、選抜研修、全体研修の4つの軸で、社内講師および外部講師によるプログラムを組み合わせ、創造性やイノベーションを引き出すさまざまな機会の創出を目指します。2024年度は、昨年度に引き続き、キャリア採用者を対象とした会長研修や、販売職を中心とした社長研修など、会社のトップと従業員が直接対話し、エンゲージメントを高めることを目的とした研修を継続的に実施し、企業風土の醸成を図りました。2025年度以降も、グローバル人材育成に向けた海外留学制度の開始や、店舗におけるインバウンド顧客への接客向上、海外とのビジネス円滑化のための英語・中国語の習得機会提供など、当社の課題に合わせたさまざまな教育・研修を実施する予定です。
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 全社共通の教育・研修の年間受講者数 | のべ399名 | のべ309名 | のべ1,246名 | のべ1,175名 | のべ4,454名 |
| 全社共通の教育・研修費総額 | 7,734万円 | 4,667万円 | 5,025万円 | 4,706万円 | 8,478万円 |
| 教育・研修の年間総時間数 | 7471.20時間 | 6837.79時間 | 10432.24時間 | 11553.94時間 | 25666.98時間 |
| 従業員一人当たりの研修時間(平均) | 2.64時間 | 2.39時間 | 3.64時間 | 3.98時間 | 9.06時間 |
| 全社共通の教育・研修日数(平均)※2 | 0.35日間 | 0.32日間 | 0.49日間 | 0.53日間 | 1.21日間 |
※2:従業員一人当たりの研修時間(平均)を、ゴールドウイン本社の標準就業時間7.5時間で除した数値。
階層別研修
新入社員から中堅社員、管理職に至るまで、各階層に合わせた研修を実施しています。従業員が現在の業務にあたる上で必要な要件を身に付けられるよう支援し、全体の底上げを図ります。
| 研修 | 一人あたりの 研修時間 (時間) |
受講者(名) | 研修目的・内容 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020 年度 |
2021 年度 |
2022 年度 |
2023 年度 |
2024 年度 |
|||
| 新入社員研修 | 82時間 | 29 | 34 | 13 | 23 | 36 | 企画、生産、販売まで行っているスポーツメーカーの人材として、自分の職種以外の業務を研修で経験し、これからの仕事に生かすことを目的に、新入社員およびキャリア採用の従業員は、当社の研究開発の本拠地でもある富山本社において定期的に研修を受講しています。アーカイブコーナーで企業の歴史を学ぶとともに、自らスポーツウエアをつくり上げる縫製実習を通じて、モノづくりの基本を学びます。 |
| 中堅社員研修 | 実施なし | 19 | 14 | 実施なし | 実施なし | 実施なし | 自身の対人行動の特長を理解し、他者と絆を深めるポイント(対人関係の社会的能力)を学習 します。強い絆を持ったチームのあり方を体験的に理解します。 |
| 昇格者研修 | 7.5時間 | 49 | 38 | 58 | 43 | 44 | 販売アルバイトからの社員登用者を対象にした、マインドセット、モチベーション向上を目的とした研修 |
| 販売キャリア入社研修 | 3時間 | 43 | 28 | 25 | 46 | 17 | 販売キャリア入社者を対象にした、マインドセット、モチベーション向上を目的とした研修 |
| 販売基礎研修 | 38時間 | 15 | 15 | 7 | 16 | 13 | 新卒販売職を対象にした、販売の基礎を学ぶ研修 |
管理職研修
管理職の社員に対し、組織を管理する上で欠かせないマネジメントスキル等を磨く研修を提供しています。2022年度からは新人事制度の導入にあたり、制度の理解と評価軸の共有のため、評価者勉強会とフィードバック面談の説明会を実施しています。
| 研修 | 一人あたりの 研修時間 (時間) |
受講者(名) | 研修目的・内容 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020 年度 |
2021 年度 |
2022 年度 |
2023 年度 |
2024 年度 |
|||
| 新任マネージャー研修 | 実施なし | 25 | 16 | 90 | 19 | 実施なし | ゴールドウインの今後を担うマネージャーとして活躍するために、以下の3点について学ぶ研修です。 ①マネージャーに求められる基本的な役割について ②チームを活性化し運営するスキルと、チームメンバーに対する指導・支援スキル ③マネージャーとしての自己理解 |
| マネジメント基礎研修 | 0時間 | 85 | 27 | 21 | 23 | 実施なし | 店長の役割を理解する研修 |
| ミドルマネジメント研修 | 0時間 | 0 | 10 | 15 | 10 | 実施なし | 部長職以上を対象とした、ビジネスリーダーとして必要となる経営スキルの体系的な修得と全社的な経営視点の養成を目指すプログラム(12回) |
| 新任エリア長研修 | 0時間 | 20 | 6 | 0 | 7 | 実施なし | 健全な店舗運営の実現に向けて、エリア長としての役割を認識する研修 |
| 新任管理者研修 | 14時間 | 30 | 19 | 21 | 23 | 35 | 新任店長としての管理者業務の習得を目的とした研修 |
| マネジメント研修 | 0時間 | 未実施 | 未実施 | 126 | 10 | 実施なし | 部長職に対して、マネジメントの向上を目的とした研修 |
| 新人事制度評価者研修 | 1.5時間 | 126 | 140 | 175 | 新人事制度の導入にあたり、制度の理解と評価軸の共有のため、評価者勉強会とフィードバック面談の説明会 | ||
テーマ・スキル研修
当社では、特定のテーマに基づいたスキル研修を実施し、実践的な知識や専門スキルの習得を促し、組織全体のパフォーマンス強化を図っています。研修は多様な属性の社員を対象とし、実務で活かせる内容で構成されており、継続的な成長を支援しています。2023年度は、キャリア採用者を対象に、本店のある富山地区で1泊2日の会長研修を実施し企業風土の醸成を図りました。2024年度は、自ら積極的に手を挙げて参加をする形式の研修を実施し、従業員のモチベーションを重視した研修を充実させました。
| 研修 | 一人あたりの 研修時間 (時間) |
受講者(名) | 研修目的・内容 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020 年度 |
2021 年度 |
2022 年度 |
2023 年度 |
2024 年度 |
|||
| サービス・接遇研修 | 7.5時間 | 60 | 40 | 80 | 142 | 71 | サービスに型を学び、顧客感動へ導く応対スキルを身に着ける研修 |
| 指導者養成研修 | 14時間 | 0 | 0 | 7 | 19 | 実施なし | 指導者としての効果的な部下育成の方法を学ぶ研修 |
| 社内アカデミー | 2.5時間 | – | – | – | – | 256 | 広域でのビジネススキル向上、ダイバシティ推進に加え、社内での人脈形成を目的とし、社員の学びたい意欲にこたえるため手上げ制で、属性に捉われず自由に学び合う場所を提供する研修。 |
| パーパス浸透研修 | 10時間 | – | – | – | – | 34 | パーパスの共感と浸透を目的とし、管理職向けおよびパーパス共感推進トレーナ-養成のための研修。 |
全体研修
全社員を対象とした、各種研修プログラムを整備しています。積極的な受講を促し、ゴールドウインの人材力強化につなげています。2022年度から、社長自らが従業員と直接対話し意見交換をしながらエンケージメントを高める社長講話研修を行っています。研修は1グループ20~25名程度の人数で構成され、販売職以外の従業員を対象に実施しています。
| 研修 | 一人あたりの 研修時間 (時間) |
受講者(名) | 研修目的・内容 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 2022 年度 |
2023 年度 |
2024 年度 |
|||
| 会長研修 | 15時間 | 211 | 307 | 120 | キャリア採用者を対象に、本店のある富山地区で1泊2日の会長研修を実施しています。創業から発展までの歴史や理念、テック・ラボや縫製体験などものづくりに触れる機会を通して企業風土の理解を深められる内容 |
| 社長講話研修 | 2時間 | 773 | 366 | 704 | ゴールドウインの理念や将来ビジョンを社長自ら社員に向けて直接発信・共有し、理念の浸透を図るプログラム内容 |
その他の研修
海外語学研修
2024年度は、コロナ禍により実施を見送っていた海外語学研修を再開し、海外事業を支えるグローバル人材の育成のため、3年目以上の正社員を対象に、海外語学留学の参加者を選抜しました。推薦をうけた参加者は、書類選考と面接を経て最終経営会議にて選出されます。1年間の米国大学への留学により、本格的な語学力のアップを図るとともに、国内外に通用するリーダーシップや、創造力を兼ね備えた人材の育成を推進していきます。
接客ロールプレイングコンテスト「セールスコンベンション」
ゴールドウイングループでは、企画開発した商品の機能や用途、さらには着用場面や注意点などの情報を、直営自主管理店の店頭を通じて直接お客様にお伝えして、新しい体験をご提案する双方向コミュニケーションに力を入れています。年一回実施している接客ロールプレイングコンテストの「セールスコンベンション」を通じて、販売スタッフ自らの接客スキルの向上を目指しています。2024年度は、北日本・東日本・西日本・中日本の4ブロックごとで予選会を実施して選出された8名および関係会社スタッフ3名の計11名が出場しました。富山本店の会場には、役員を含めた約130名以上の従業員が参加したほか、オンラインでの視聴も可能とし、当社の多くの従業員が参加しました。販売スタッフだけでなく、多くの従業員が製品や販売に関する知見を高める機会として、今後も継続的に実施していきます。
Leave No Trace研修
当社は、環境に対するインパクトを最小限にしてアウトドアを楽しむための環境倫理プログラム「Leave No Trace」のオフィシャルパートナー企業として、その活動を支えています。2024年度は、Leave No Traceと協業して、アウトドアアクティビティにおける環境配慮についての理解促進を目指した体験型研修をなべくら高原と六甲山で行い、延べ30名の従業員が参加しました。なべくら高原では初めての雪山でのインストラクター養成コースを実践し、六甲山では環境インパクトを限りなく減らして野外活動を楽しむためのワークショップを実施しました。また、学生向けの教育プログラムとしてワークショップを箱根で実施し、77名の学生にご参加いただき、当社の環境についての考え方を、Leave No Traceによる野外体験を通して理解していただくプログラムを実施しました。
従業員のキャリア開発支援
ゴールドウインでは、従業員が多彩な能力を開発し、自ら希望するキャリアを実現していけるよう、ワークショップの開催や面談を通したさまざまな支援や、技能検定の補助等を行なっています。また、配属先の決定にも、従業員自身の希望を反映しやすい仕組みを整えています。
具体的には従業員の製造技術・技能の向上や、繊維製品の品質・性能の向上を図ることを目的とした各種検定・資格の受験料の補助に加え、TOEIC受験料の補助や外部研修機関が提供する研修(ビジネスの基礎知識やIT・ソフトウェアスキル、デザイン等)の受講機会の提供等、製品の製造に関わるスキル以外の研修も充実させ、従業員のさらなるキャリアアップを支援しています。2024年度からは、これまでと同様上長との面談を年4回実施し、その中で個々人のキャリアプランについて話し合う機会を設け、従業員のキャリア形成をバックアップする体制を整えています。
キャリアマッチングプログラム(CMP)
ゴールドウインでは年1回、部長職以下の全従業員(契約社員も含む)にCMPへの回答を求めています。これは、オンラインアンケート形式で自身のキャリアへの考え方について尋ねるものです。アンケート項目では異動の希望について確認しており、全社的な人材配置の資料として活用しています。CMPを通し、従業員は今後自分がどのように働きたいかを会社に伝え、所属部署や勤務地の選択に主体的に関わることができます。
2024年度は内勤者114名、販売職215名が異動希望を出し、そのうち25名が希望部署に異動しました。
社内公募制度
新規部署の立ち上げなどにあたり、その部署に希望する人材を配属できるよう、当社では必要に応じて社内公募を行っています。応募した従業員は該当部署および人事部の審査を受け、業務に必要な基準を満たしていると判断された従業員の中から厳正に選出されます。社内公募は不定期で、2024年度は1件実施し、1名が配属されました。従業員の希望を重視した異動の仕組みとして、2025年度以降も状況に応じて実施する予定です。
技能検定等の補助
ゴールドウインでは、従業員の製造技術・技能の向上や、繊維製品の品質・性能の向上やビジネススキルの習得を図ることを目的とした各種検定・資格の受験料の補助を行い、従業員のさらなるキャリアアップを支援しています。
| 検定・資格名 | 頻度 | 負担金額 | 現在の認定者数 | うち、2024年度認定者 |
|---|---|---|---|---|
| 婦人子供服既製服縫1級、2級 | 毎年実施 | 受験料の半額を会社が負担 | 27 | 1級/1名、2級/1名 |
| 繊維製品品質管理士(TES)試験 | 受験料の全額を会社が負担 | 84 | 3名 | |
| 婦人子供服既製服パターンメーキング1級、2級 | 2年に1回 | 受験料の半額を会社が負担 | 8 | 0 |
| 縫製機械整備 1級、2級 | 受験料の半額を会社が負担 | 35 | 2級2名 | |
| TOEIC受験者数 | 毎年実施 | 受験料の全額を会社が負担 | 13 ※1 | 0 |
キャリア相談室・キャリアワークショップ
従業員一人ひとりが、(1)社会の変化から今の自分の状況を客観的に見ることができ、(2)変化に気づき、理解し、自分のなかに取り入れることを体験し、(3)未来を生き抜くための自分自身の力を考える機会を提供するために、定期的にキャリアコンサルティングを実施しています。さらに年に1回、「50、55歳」「40、45歳」「30、35歳」の年齢別のキャリアワークショップを開催しており、それぞれのライフステージに応じて従業員が自分のキャリアを見つめ直すきっかけを提供しています。
2024年度のキャリアワークショップには、60歳20名、50歳26名、55歳21名、40歳17名、45歳18名、30歳13名、35歳11名、25-27歳24名が参加しました。また、キャリア相談室として、希望者にはキャリアコンサルタントによる個別面談を通年で実施しています。
利用者の声
(役に立った自由記載)
20代の声
- 普段関わらない他部署の方との交流ができたことが良かったです。ディスカッションメンバーと自分の強みや働く上での意識が少しずつ違い刺激を受けました。
- 年齢が近い方と話せる機会があまりないので、貴重な時間を経験できました。また、事前課題を通して周囲の方からの見え方もフィードバック頂けたので、今後の業務のモチベーションにも繋がりました。
- 普段かかわることのない人とも交流できた。こういう場がないと真面目に自分を振り返る機会はなかった。自分の強みを知れたこととともに、足りない部分も見えた。
30代の声
- 普段同年代と話す機会もなかなかなく、ちょうど中堅に差し掛かる悩みの多い時期に同年代の考えを聞くことができて為になった。
- 自分のキャリアについて今までしっかりと深く考えたことがなかったので、今回をきっかけに考えるチャンスを持てたため。
- ゴールドウインに入社する前に何社か経験をしているが自分の求められている役割や強み、価値観を見つめ直す機会は今までなくとても素敵な機会でした。
40代の声
- 周りの方たちから自身のフィードバックを頂き、自身が意識していないところも評価頂けていることを知ることが出来た。同年代の他部署の方たちと情報交換が出来、参考にしたいと思える考え方を知ることが出来た。
- 違う職種でも同じタイミングで自身のキャリアに悩んでいたり、おかれている立場が似ていたりと同世代あるあるとして共感でき、自分だけじゃないんだと勇気をもらえた。
- 上長への事前アンケートなど、普段人から良いところをほめてもらう機会や自分の性格について、客観的意見をいただく機会がないので貴重な体験でした。
50代の声
- 定年後の自分の在り方を考えるきっかけとなった。普段、接することのない人と交流が持てた。
- グループセッションにおいて、同じ歳ならではの共通の悩みなどが共感しあえたこと。
- 転職組はGWプロパー社員の様に「同期」がいないですが、この会では、同世代が集まる事で、同期ではないものの、似たような立場から生まれる悩みに共感が生まれやすく、孤立感が薄らぐ。今後会社がキャリア採用を推進していくと、GWの同期の絆が希薄にならざるを得ない中、このような会がその代わりになっていくと感じました。
60代の声
- 改めて今後、自分がどうしたいのか、どう進むのか考えるきっかけになった。
- 今後の業務・生活を具体的に見直すことができた。
- 60才になる前に、なんとなく何か始めたいと思っていたが結局何も始められなかったので今回ワークショップに参加して再度自分を見つめなおす事ができた。まだ何を始めるのか見えてないが、色々考えたいと思う。
今後の課題
当社では、2022年度よりスタートした新人事制度のもと、会社としての育成方針や求める人材像をより明確に従業員に示していくことに注力しています。人的資本を最大化するため、能力開発を目的とした研修を積極的に行い、従業員一人ひとりが自身のキャリアアップを考えられるような環境を整備し、従業員の自己啓発を加速させ、チャレンジする気持ちを高める制度運用を目指します。従業員の成長を最大限サポートできるように、新しい研修の開発や支援のための専門チームの整備等、所管部門でも施策の推進に努めています。また、当社がどのような支援策を用意しているかを、従業員一人ひとりに分かりやすく伝えていきます。