循環型社会の実現 Sustainability

基本的な考え方

アパレル産業は人々の生活で重要な役割を果たす一方で、大量生産・大量消費・大量廃棄といった社会や環境への負のインパクトが深刻化しています。再生可能な原材料の利用や製品寿命の長期化など、資源を有効利用することが必要です。

ゴールドウイングループでは、事業活動における廃棄物削減や不要となった衣料の再利用など、廃棄をなくすファッションロス・ゼロによる循環型社会の実現を目指します。


環境重要課題

当社グループでは、これまで調達や生産計画の管理を徹底し、当社内での資材や製品の廃棄削減に努めてきました。そして、バリューチェーン全体で廃棄による単純焼却や埋め立てをなくすべく、中期経営計画のなかで、重要課題の一つとして「循環型社会の実現」を設定しています。サプライチェーン全体における材料や製品の廃棄ゼロに向けた取り組みや、不要となった衣類の店頭回収とその再利用を推進し、循環型社会の実現を目指しています。

また、代表取締役社長が委員長を務めるEMS推進委員会の事務局では、製品・材料廃棄量の実績を毎月管理し、廃棄量の削減を進めています。さらに、年2回開催される環境管理会議でも進捗が報告されます。

環境改善活動における戦略と具体策
環境改善活動における戦略と具体策の説明図

廃棄物の削減

当社グループの2023年度の産業廃棄物の排出量は56.4tでした。2024年5月の本社移転に向けた準備や、物流倉庫等の整理に伴い廃棄が増加しました。製品と材料の廃棄は全体の約24%を占めていますが、デジタル技術を活用した設計や製品製造の過程で発生する生地の廃棄削減に取り組むなど、ファッションロス削減に努めました。今後も、製品や材料廃棄の削減・有効活用について検討し、廃棄ゼロを目指します。

廃棄物排出量(t)
※2022年度より、廃棄物排出量の明細を「製品・材料」と「その他」に分類しています。

販売ロス率の低減による製品廃棄の削減

アパレル産業で大きな環境問題とされているのが、供給過剰による製品廃棄問題です。当社は2000年からの実需型ビジネスモデルへの転換を機に、発注流動管理を徹底し、調達総量を厳しく管理しています。また、販売期間中の迅速な在庫流動により、2023年度の販売ロス率を1.5%まで低減しています。

販売ロス率(%)

水資源の保全

当社グループは、節水による水使用量の削減や、排水処理、排水水質の適正な管理などで、水資源の保全に取り組んでいます。上水道においては、東京本社は上⽔を利⽤し、富⼭本店とゴールドウインロジテムは地下⽔を利⽤しています。各拠点(東京本社、富山本店、ゴールドウインロジテム)における2023年度の上⽔道利用量の合計は、上⽔4,076㎥、地下⽔126,623㎥となりました。
また、下水は生活排水のみ16,447㎥を排水し、汚染物質の排出は確認されませんでした。

上下水道使用量
単位 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
上水道 上水 4,920 3,065 2,723 3,574 4,076
地下水 91,065 232,048 178,496 159,155 126,623
下水道 17,422 13,989 13,034 14,259 16,447
※東京本社、富⼭本店、ゴールドウインロジテムが対象です。

紙の使用量削減

当社グループは、ペーパーレスを推進し、オフィスにおける紙使用量の削減に取り組んでいます。資料・文書の電子データ化、電子申請システムの導入によるペーパーレス化、両面・割付印刷の推進、ノートPC端末導入によるペーパーレス会議の推進などにより、コピー用紙の使用削減に取り組んでいます。
2023年度の東京地区におけるコピー用紙の使用量は2,729kgとなりました。今後はそのほかの事業所における使用量の把握と、さらなる使用量削減に取り組んでいきます。

コピー用紙の使用量(東京地区)(kg)
※これまで算定対象の記載が「富山本店」となっておりましたが、正しくは「東京地区」でしたので、修正しました。

GREEN IS GOOD

生活者とともに環境を考え持続可能な社会の実現することを目的に2008年から行っている環境負荷低減活動である「GREEN IS GOOD」において、お客様と一緒に起こすアクションとして、お客様で不要となった衣類を回収しリサイクルする活動を進めています。繊維製品を循環させる取り組みなどを通して循環型社会の実現を推進しています。

GREEN IS GOODについては、以下をご覧ください。


資源を大切に使うための取り組み

リサイクルの推進

当社グループは、限りある資源を大切に使うために、衣類を循環型モデルに組み込む取り組みを進めています。ブランドや質・状態に関わらず、不要となった衣類を回収し、新たな製品の原料にするリサイクル活動を2008年よりさまざまなパートナー企業とともに開始しました。2023年度は13,799kgの衣類を回収しました。当社の直営店を中心とした全国163(2024年3月末時点)の店頭にリサイクルボックスを設置し、お客さまからの製品回収を進めています。さらに、富山マラソンやカターレ富山(サッカーチーム)ホームゲームなどのスポーツイベントで製品の回収を実施し、パートナー企業(河田フェザー株式会社、東レ株式会社、長谷虎株式会社、株式会社JEPLAN)の協力のもと、循環型ビジネスに向けたリサイクル活動を推進しています。

製品回収実績:回収量(kg)

大切に使っていただくためにリペアサービスを推進

ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)では、「もし素材や製造上の欠陥が原因であれば、代金は一切いただきません。その他の場合は、適正な価格で修理いたします」というポリシーを徹底したリペアサービスを行っています。現在当社では、ザ・ノース・フェイスをはじめとしたアウトドアブランドの製品に限らず、モーターサイクルウエア、スキーウエア、アスレウエアなどもリペアの対象としており、キッズ商品(一部を除く)は無償で対応しています。

環境への関心の高まりなどにより、製品の使用期間は長期化する傾向にあり、修理の依頼も増加しています。東京の恵比寿ガーデンプレイスセンタープラザ内の直営店に常設のリペアサービスコーナーを設置しているほか、ウェブサイトでリペアの受付をしています。ゴールドウインブランド製品の修理を無料とし、2004年の時点で年間3,500件程だった依頼は、2023年度は23,743件になりました。

当社グループでは、製品リペアの需要が今後も増加すると見込んでおり、引き続きリペア体制を拡充し、修理件数の増加に対応することに加えて、2025年にはこれまで4週間だった納期を2週間に短縮することを目標にしています。

リペア実績(件)

リセール事業「GREEN BATON」の開始

一般的にキッズ製品は子どもの成長によって約2年でサイズアウトするといわれていますが、当社のアンケートではそのうち約40%がゴミとして廃棄されているという結果が出ています。

子どもの成長によりサイズアウトして着なくなったキッズ製品を買取り、リペアやアップサイクル後に新たな製品として販売するサステナブル・レーベル「GREEN BATON(グリーン・バトン)」を2022年7月より展開しています。リセール製品にはバトンをイメージした“グリーンの引き手やネーム”が施され、他にはない一点モノの製品として新たな価値が付加されます。

アップサイクル前 → アップサイクル後

今後の課題

衣類の回収量、リペア件数も増加傾向にあり、リセール事業「GREEN BATON」も継続的に行っています。今後は2050年度のサプライチェーンにおける廃棄物ゼロの実現のために、自社だけでなく、サプライチェーンでの廃棄物の排出量の把握と削減、および廃棄対象物の再利用方法の検討が課題です。