公正な評価・処遇 Sustainability

基本的な考え方

ゴールドウインでは、人的資本の最大化を目指すことが、経営上の最重要項目となっており、当社で働くすべての従業員が、自身が期待されている役割をしっかりと認識し、職務の確実な遂行により組織の目標達成に貢献する仕組みが重要と考えています。この仕組みとして公正な評価・処遇決定を行う基幹人事制度を整備し、従業員とのコミュニケーションを通じて透明性の高い運用を行っています。また当社では「人権方針」に基づき、一切の差別を禁止しています。賃金制度においても性別による差別等は一切行わず、同一労働同一賃金に関する法令を遵守した処遇決定を行っています。


人事制度

当社では2022年度に人事制度を改定しました。新たに導入した人事制度は「事業の成長を推進する人材を輩出できる仕組み」「ゴールドウインのDNAを生かし、しっかり伝承できる仕組み」「シンプルで納得感がある仕組み」であることを基本コンセプトとしています。また、ジョブ型人事制度として、会社が従業員に期待する事項を明確に示すとともに、それに基づくキャリアパスを提示することを重視しています。

当社の人事制度は、等級別に求める職務内容・能力・経験等を明確化した「等級制度」と、評価基準を定めた「評価制度」、等級別の職務評価結果から報酬を決定する「報酬制度」の3つからなる基幹人事制度が骨格となっています。ジョブ型人事制度として、担当する仕事と役割である「職務」を基準とした人事制度であり、当社では①職務の質・難易度、②職務の領域・範囲、③協働・管理・指導の3軸で各等級や評価基準、報酬体系を定めています。

人事制度の改定により、各職務に対する役割が明確となり、納得感のある評価を実現するだけでなく、戦略的な人材ローテーションや人材育成が可能となります。さらに、これまで60歳以上の再雇用者は一律の賃金でしたが、ジョブ型人事制度に移行したことにより職務に応じて評価されることになり、性別や年齢による差別等のない、同一労働同一賃金を遵守した制度となっています。

2023年度から毎年、評価者による評価結果の差を最小限にすることを目的に、評価軸の共有のための評価者勉強会とフィードバック面談の説明会を対面で実施しています。対象者は全員参加し、後日アーカイブでのフォローアップも行っています。また、上長との面談を年4回行うことにより、従業員のキャリア形成をバックアップする体制を整えました。2024年度以降、従業員満足度調査から見えてきた制度の課題点を整理し、評価の透明性、納得性を高めるよう具体策を実行し、安定運用を目指しています。

基幹人事制度
基幹人事制度

職務の構成要素

①職務の質・難易度

業務を通じて創出する成果の質の違い

  • (例) 安定・確実な業務遂行~効率的な業務遂行~新たな価値の創造 等

業務の難易度

  • (例) 誰でも容易に遂行可能~数年の訓練で遂行可能~社内で限られた人材のみが遂行可能 等
②職務の領域・範囲

業務の領域(専門分野)と範囲

  • 領域の例)開発/設計/製造/営業/経理/人事・・・・等
  • (範囲の例)既存定型業務/既存非定型業務(突発対応など)/新規非定型業務
③協働・管理・指導

職責を果たす上で管理する必要がある事項と、その範囲

  • (管理対象の例)自身の担当業務/部下の担当業務/部下の勤務状況 等
  • (管理スパンの例)自分ひとり/数名のチーム/数十名のチーム 等

公正で競争力のある処遇決定

当社では「人権方針」に基づき、一切の差別を禁止しています。賃金制度においても性別による差別等は一切行わず、同一労働同一賃金に関する法令を遵守した処遇決定を行っています。また、処遇決定においては法令で定められた最低賃金を遵守するだけでなく、各地域の労働賃金の動向や同業の競合他社の賃金水準を常に把握し、当社の業績等を鑑みながら判断し、生活賃金以上の競争力のある支払いに努めています。人事制度での報酬は、基本給は前年度の個人の評価結果に連動し、夏季の賞与は組織の一体感醸成を目的に前年度の全社業績、部門業績の評価に連動します(職務によって異なります)。賞与は、正社員・契約社員が対象となっています。個人の評価については、評価者である上長と年4回の面談を通じ評価対象者への理解を深めたうえで、公正かつ納得性の高い評価に努めています。男女間の賃金差異についても課題として認識しており、この差の縮小に向けた取り組みの一環としても、公正な評価制度の整備と運用は重要であると考えています。

報酬決定プロセス
報酬決定プロセスの図
平均給与(円)(単体)
2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
平均給与 6,072,614 6,377,448 6,958,261 6,172,007 7,143,719
正社員 6,513,754 6,860,204 7,393,948 6,453,634 7,440,942
契約社員(内勤者) 5,418,713 5,680,879 6,484,777 5,824,897 6,946,977
契約社員(販売職) 3,859,979 3,916,816 4,041,056 3,774,714 4,201,022
男女の賃金の差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)(単体)
2022年度 2023年度 2024年度
全従業員 65.4% 66.8% 67.5%
うち正規労働者(正社員) 64.4% 68.1% 67.8%
うち非正規労働者(パート・有期社員) 75.1% 74.9% 77.5%
*「男女の賃金の差異の算出および公表の方法について」(厚生労働省)をもとに作成

従業員エンゲージメント調査

当社では、2023年度から従業員エンゲージメント調査を実施しています。2025年2月に実施した調査では、全体の評価はBとなりました。総合満足度は高い方から「会社」、「仕事」、「職場」、「上司」の順となりました。

従業員の期待値および満足度が高い項目は「財務状態の健全性」、「経営陣に対する信頼」、「身体的な快適性」、「評価・給与の妥当性」となりました。一方で、「身体的な快適性」、「評価・給与の妥当性」などの項目は高い期待値に対して満足度がそれほど高くないという課題が見られました。

2024年5月の新社屋移転による業務環境の改善、引き続き取り組みを進めている人事制度の勉強会や1on1面談の定期実施による従業員への理解浸透、ピープルマネジメント分野の管理職研修の実施などの対策を講じ、課題改善を進めてきました。
今後は調査結果を活用しながら部門別の課題を特定し、最適なアプローチ方法を検討していく予定です。


企業年金制度

当社グループでは、従業員の老後の生活の安定を目的に、企業年金制度を運営しています。制度は、確定給付型年金制度(DB)と、確定拠出型年金制度(DC)で構成されており、等級に応じた金額を毎月拠出しています。なお、確定拠出型年金制度(DC)については、当社が拠出している額と同額を上限とするマッチング拠出制度(従業員拠出)を導入しています。

企業年金制度の状況
加入者数 2022年度拠出額 加入者数 2023年度拠出額 加入者数 2024年度拠出額
確定給付型年金(DB) 888 544,738,080 973 317,842,340 951 503,535,320
確定拠出型年金(DC) 887 58,969,843 971 67,946,135 951 71,516,842

従業員持株会制度

当社では、従業員に対する持株会制度(ゴールドウイン従業員持株会)を導入しています。

ゴールドウイン従業員持株会は、従業員(グループ会社含む、正社員、契約社員)の中長期的な財産形成に資する目的で福利厚生制度の一環として設立されました。持株会へ加入した従業員は、一定金額(1口1,000円から最大50口までの任意の口数)を給与や賞与から天引きすることで持株会に拠出し、当社からの10%の奨励金を合わせて、当社の株式を無理なく買付けることができる制度です。あわせて、当社経営に対する意識が一層高まることで企業価値の向上につながることを期待しています。売却する際は、インサイダー取引管理規定に従い「自社株売却申請」に必要事項を記入後、総務部長の承認を得てから売却することとしています。2025年3月時点の加入者は、1,029名となっています。


その他手当

当社では、各種手当を支給しています。具体的には、結婚・出産・弔事等における慶弔祝い金制度を設けており、正社員や契約社員を対象に支援を行っています。また、自然災害等による被災者に対しては、「被災者お見舞金」を支給しており、対象は正社員・契約社員に加え、その親族(例えば実家が被災した場合など)も含めた柔軟な支援体制を整えています。


今後の課題

公正な評価・処遇の決定と、従業員とのコミュニケーションを通じた透明性の高い運用を継続していきます。これまで、制度上の課題点を整理・検証しながら、評価の透明性や納得性を高め、安定的な運用を目指してきました。今後も人事制度の継続的な見直しと改善を進めることで、従業員満足度の向上や組織の活性化を図ります。